画竜点睛
昔話を少々…
梁(中国南朝)の絵師『張僧繇』は、勅令により金陵の安楽寺の壁に四匹の竜の絵を画いた。
その絵は素晴らしい出来だが、睛(ひとみ)が画かれていない。
「なぜか?」と絵師に尋ねると、「睛を入れれば飛び去るからだ」と言う。
人々はそれを信じず、二匹の竜に瞳の点を書き加えさせた。すると竜は忽ち天に昇っていった。
(出典:『歴代名画記』(中国:唐時代))
この逸話は、「画竜点睛」の語源となった話です。
おそらく、ほとんどの人が「そんなバカな…。」と感じるのではないでしょうか?
では、下の絵をご覧下さい。
左の絵が制作途中、右の絵が最終仕上げの絵です。
(撮影状況の違いで多少明るさが違いますが、ご容赦ください)
どう感じましたか?
なんとなく、目に目を奪われませんか?
さすがに動き出しはしませんが、生命力の違いを感じると思います。
作家曰く「目は必ず最後に描きます。先に目を描いてしまうと全体のバランスがわからなくなってしまうからです。」との事でした。
昔から「目は口ほどに物を言う」と言われますが、画竜点睛の逸話もあながち嘘とは言いきれないかも知れませんね。